ひがたってどんなところかな?
水辺の教室第二回
テーマ:干潟で遊んで学ぶ~ひがたの役割を考えよう~
時間は午前9時半頃。
集合時間が近づくにつれて続々と参加する子どもたちの車が会場に集まってきた。
子どもたちは今日の宿題とぼろ布とお米を渡してしまうと、もうそれぞれに遊びだしてそこら中を駆け回っている。
会場に広がる楽しそうな声。
5月16日(土)に行われた第2回水辺の教室の様子をレポートします。今回のテーマは、「干潟で遊んで学ぶ~ひがたの役割を考えよう~」。
ひがたってどんなところかな?
天気はあいにくの曇り空。じっとしているときはフリースを1枚着てちょうどいいくらいの、肌寒い中での水辺の教室となりました。
一旦集合し、今日の簡単なスケジュールと新しいスタッフを紹介した後、まずは干潟へ。(今回は潮の関係から午前に室内学習、午後にフィールドというスケジュール。)スタッフ、子どもたちみんなそろって土手の上からすぐ近くの干潟を見下ろしたり、堤防の上に上がって全体を見渡したり。
干潟をみんなで見た後は室内学習の場所に移動。そこでは手作りのシオマネキの帽子がとても印象的な、とくしま自然観察の会の井口利枝子さんが地図やスライドなどを使ってお話をしてくださいました。
干潟にはどんな生き物がいるのか。カニたちの仕事。カニたちの泥の中の栄養分をとって砂団子にして泥を出す、穴を掘って空気を泥の中に送り込む、といった仕事が川の水の浄化につながること。吉野川名物のハクセンシオマネキやシオマネキのこと。吉野川でシオマネキは当たり前だけど他の場所ではなかなか見られないように、かつてはどこにでもいた生き物が吉野川には残っていること。干潟と渡り鳥の関係。干潟は鳥たちのレストランであり、中継地となっていること。ヨシ原の浄化力と貝の浄化力など。
なぜ干潟が大切なのかについて、井口さんは数ある理由の中でも次の3つを挙げて今回のお話をまとめました。それは
① 海や川の水をきれいにする
② 生き物たちのゆりかご
③ 鳥たちのレストラン
の3つです。
子どもたちはというと、聞いているのか聞いていないのか。席を立ってスライドの前に行ってみたり、隣の子と話してみたり、下を向いていたり。かといって聞いていないかと思えば、井口さんからの質問に元気よく答えてみたり。それぞれに反応はばらばら。収集のつかなさに、今回がスタッフ初参加となる私としては「こんなんで大丈夫なのかな・・。」と少し不安を抱きながらもスケジュールは昼食へ。
今回の昼食は三色どんぶりとなめこ汁。みんなでおいしくいただきました。
干潟で遊んで学ぶ
午後からはいよいよフィールドに。それぞれ干潟に入る用意をして、井口さんと注意事項を確認したうえで、さあ準備万端!まずは干潟の中でも比較的砂っぽい泥のところへ。
どんな生き物がいるか探しに行こう!!
・・・っとその前に、井口さんから「足下をよく見てごらん。」との声が。ふと視線を下ろすと足元には無数の砂のつぶつぶ。「これはさっきお話したカニが作った砂団子だよ。」と井口さん。普通に歩いていたら見落としてしまいそうだけど、よく見てみたら本当に1つ1つきれいに丸められた砂団子が小さな穴のそばに並べられている。
「へぇー、すごいね!」
みんなでしゃがんでしばらくその砂のつぶつぶを見る。すると、ある子が「ねぇ、この穴掘っていい?」と私に聞く。何とも言えず判断に迷っていると、数秒後にはもうスコップが刺さって大穴ができていた。目当てのカニが見つけられなくて「・・カニいないね。」とその子が残念そうに言うと、井口さんは笑って「カニのほうが上手だからね。3mくらい掘らないと見つからないよ。」と言った。「3m!?」と驚く私。3mってすごいな。
ここからは生き物探しタイム。みんなざるやスコップを手に干潟の中へ。
干潟って案外しっかりしているなとどんどん踏み出していくと、急に水が染み出して足がべちょべちょと泥の中にはまっていく。
子どもたちはさっきまでそれぞれ勝手気ままに動いていたのが嘘みたいにみんな生き物取りに夢中になって、どんどんいろんな生き物を干潟の泥の中から見つけてくる。
「ヤドカリ!ヤドカリ!」とか、
「カニ取れたよ!」とか、
「でっかいエビ取れたよ!」と言う声が干潟のあっちこっちから聞こえる。
自分も穴を掘ってざるで何度も泥をふるってみるけど全然何も見つけられない。子どもたちは本当にすごいなぁと感心するばかり。
しばらくすると収集用の白いトレーの中は大小さまざまなカニ、エビ、スナモグリ、貝、ヤドカリでいっぱいになりました。
集めた生き物はみんなで観察。こうして見るとこんな泥の中に本当にたくさんの生き物がいるんだなぁ。
観察した後は生き物たちをもといた場所に戻しました。
私たちが干潟から抜けるとこのときを待ってましたとばかりに鳥たちが干潟に集まってきた。「向こうに見えるのはダイゼンかな?」と誰かが言う。干潟は鳥たちにとっても大事な場所なんだ。
さてさて、砂地の泥の感触を覚えたら次の場所へ。今度は場所を移して泥団子作り。
泥の感触を確かめるように・・・。
ここの泥は水気がさっきよりも減って粘土みたいに固くてねばねばしてる。
干潟の泥は場所によって変わるんだね。
さらに場所を移動して、午前に土手の上からみんなで見下ろした干潟へ。
潮が引いて、干潟は午前と午後で違うかな?
干潟の生き物たちはすごく敏感で、たとえ土手の上でも少しでも動いたりするとすぐに隠れてしまう。だから、みんなで見に行ったときは隠れてしまっていた。それでも、動かずじっと静かに見ていると恐る恐る生き物たちが出てくる。
「ほら!ほら!あのヨシ原のとこ!」
子どもが指差す先には片方のはさみが大きくてからだが赤いシオマネキがこそこそと動いている。
「ねぇ。降りて捕まえてもいい?」と言い出す子。ごめんね、ここは我慢して。土手の上からじっと観察。
あれ、あれ、あそこでは何をしているのかな?
干潟のわきに生えている草を使ってカニ釣りだ。
カニのいる穴に草の穂の先をたらして、カニがそれを挟んでくるのをじっと待つ。
じっと待つ・・・。
じっと・・・。
・・・・。
向こうの土手にいる人たちは何を見ているのかな?
近づいていくと「静かに!」だって。
「お前たちが騒ぐから隠れてしまったよ。」
一体何が隠れてしまったのかな。
みんなで土手にうつぶせになったりして身体を隠して息をひそめて見てみる。
すると、泥の中で白いちっこいものがフワリフワリと動いていて、そしてその数がだんだんと増えていく。
よく見てみると白いはさみの小さいカニが何か知らないけれどヨッ、ヨッとはさみを揚げている。
「チゴガニだよ。」
これがチゴガニか。想像していたのよりずいぶん小さいな。こんなに小さいカニもいるんだな。
最後はチゴガニがいる干潟でみんなで息をひそめてチゴガニのダンスを見ました。
次回はシジミ漁体験!吉野川で取れるシジミはおいしいんだって。一体どんな経験が出来るかな?